実際の物件事例を通して、どのような点に着目して購入する物件を精査するのか、その”視点”について学んでいきましょう。
いずれも、過去、実際に私が売買に関わった物件です（内容を一部改変しています）。それぞれの事例から見るべきポイントやシミュレーションの方法について、疑似体験してみてください。

物件の概要

奈良県天理市にあるこちらの物件は、近隣の駅から徒歩1分。すぐ目の前にありました。ただ、単線の駅ということもあり、電車の本数は１時間に1本。需給バランスを把握するには難しい物件でした。

間取りは１Kタイプのものが２０戸。バス・トイレは別となっていますが、単身世帯向けが中心です。当社の専任物件で価格は1億500万円です。

物件のポイント

結論から言うと、この物件は2年前に８５５０万円で購入してもらい、１億５００万円で売却することができました。 この物件のポイントは、築年数と利回りです。平成８年の建築でありながら、満室時の利回りは実に１０％もありました。これは購入時としてかなり優秀な数字です。

購入時は融資を急いだため、回答は速いが金利が高い信用金庫を利用しました。その後、信用金庫の担当者の度重なる失態もあり、地銀に借り換えをした結果、返済比率が６０％から５０％以下にまで下がりました。
返済比率が２０％下がった理由としては、融資の年数を長くしたこと、金利を１％下げたこと、元金均等返済のローンを元利均等返済に切り替えたことです。

保有されていた期間は２年ほどですが、その間、とくに入居者が入れ替わることもありませんでした。そのため、入居に手間をかけることなく、高値で売却できた事例となります。

キャピタルゲインを出せた理由

は、なぜこの物件はキャピタルゲインが出たのでしょうか。その理由は、安く買えたということに尽きます。売り手（実際には売り手仲介業者）に交渉し、早期に融資の回答を出すことができたので、相場に比べて安く購入することができたためです。

他の人よりも早く購入するために、すぐ動けるかどうかがポイントとなります。

多少金利が高くても、融資が速い信用金庫を利用できるかどうかが、勝敗を分けるカギとなるのです。

例え金利が高くても、物件が適法であるなど条件が揃っていれば、あとから金利の低い都銀または地銀に借り換えをすることも可能だからです。購入を検討する際には、借り換えも考えておく必要があります。また、融資の判断が速い金融機関とつきあいをしておくことは大きな武器となるでしょう。

とくに金利が低い金融機関の中には、融資結果に時間がかかるところもあります。その判断を待っている間に、他の人に買われてしまっては元も子もありません。その点、融資のスピードは不動産投資において最重要事項なのです。

もちろん、購入後に借り換えできるかどうかについては、事前にはっきりわかるわけではありません。デフォルト（債務不履行）が多いエリアであれば、金融機関も断ってくる可能性がありますし、積算系の評価を重要視する金融機関に、収益還元系の物件を依頼しても引き受けてくれないでしょう。そのあたりに関しては、知識や経験によって判断していくしかありません。

ポイント

1.物件の購入は融資スピードが命（現金が最高！）
2.売り手業者の段取りが勝敗を分けることも
3.購入時には数年後の借り換えも視野に入れておく
4.借り換え判断は経験を積んで身につけるべし

次回もお楽しみに！

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