不動産投資で可能な税金対策とは?法人化するメリット・デメリットも解説
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「不動産投資をすれば、利益を確保した上で節税ができる」と聞いて安易に不動産投資に手を出し、思うような利益が得られず、かえって大きな負債を抱えてしまうケースは少なくありません。
特にここ最近では、サラリーマン向けに新築区分マンションの購入を勧める事業者が増えていますが、融資を使って利益を出すという一般的な不動産投資での節税効果はとても限定的です。
そこで今回は、これから不動産投資をはじめる方に向けて、不動産投資にまつわる税金対策について詳しく解説していきます。また、法人化するメリット・デメリットについても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
税金対策①:所得税・住民税について
不動産投資における税金対策で最も身近なものが、所得税と住民税に対する効果です。
所得税と住民税の基本的な考えと、税金の計算方法、不動産投資による節税効果について詳しく見ていきましょう。
所得税の基本的な考えと計算方法
所得税とは個人の所得に発生する税金で、国に納める国税です。1年間の所得から所得控除を差し引き、残った所得金額に対して、それぞれ定められた税率を適用して税額を計算します(※)。なお、税率は課税金額が高くなるほど税率が上がる累進課税制度となっています。
ちなみに、法人の所得に対してかかる税金は「法人税」として課税されます。
<所得税の速算表>
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
※平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1パーセント)を併せて申告・納付することとなります。
住民税の基本的な考えと計算方法
住民税は都道府県と区市町村に納める地方税の一種です。つまり、都道府県民税(道府県民税+都民税)と区市町村民税を併せた総称が住民税となります。地方税ではありますが、原則として自治体によって税率や算出方法が変わることはなく、全国どこでも同じ税額です。
また住民税には、個人に対してかかる個人住民税と、法人に対してかかる法人住民税の2種類が存在します。
次に、個人住民税の算出方法について見てみましょう。個人住民税は、課税所得に10%の税率をかけた所得割額と、所得金額に関わらず一律で割り当てられる均等割額の2つを併せた金額で算出されます。
所得割額の税率10%の内訳は、基本的に都道府県民税が4%、区市町村民税が6%ですが、自治体によって割合の分配が異なるケースもあります(大阪市では平成30年度より市民税8%・府民税2%)。
さらに、均等割額については本来4,000円(都道府県民税1,000円+区市町村民税3,000円)ですが、平成26年度から令和5年度までの間は、東日本大震災からの復興財源を確保するため、各500円ずつ、合計1,000円が加算されます。つまり、2014年〜2023年の均等割額は5,000円となっています。
【個人住民税の計算方法】 ①:所得金額−所得控除額=課税所得 ②:課税所得×税率=所得割額 ③:所得割額+均等割額=個人住民税 |
所得割額の税率 | 均等割額 | |
---|---|---|
個人住民税 | 10% | 4,000円(+1,000円※) |
内)道府県民税/都民税 | 原則4% | 1,000円(+500円※) |
内)区市町村民税 | 原則6% | 3,000円(+500円※) |
【出典】個人住民税|総務省
不動産投資による所得税・住民税への税金対策
不動産投資による所得税と住民税への税金対策は、損益通算がポイントとなります。
不動産投資によって得た所得は不動産所得と呼ばれ、不動産所得は他の所得と合算した金額に対して所得税率をかける総合課税の対象です。
つまり、不動産所得で赤字が発生すれば、本業の黒字所得から不動産投資の赤字所得を差し引くことができるのです(損益通算)。課税所得が減額となるため、結果として税金対策につながります。
【総合課税の損益通算】 本業の給料(黒字取得)−不動産投資のマイナス(赤字所得)=課税所得 |
ただし、不動産投資が所得税と住民税の税金対策につながるのは、不動産投資が赤字の時に限定されます。不動産投資では、例えば物件の減価償却費や空室の発生などで赤字になることはよくあるケースですが、だからといって、税金対策のために赤字経営を目指すのは本末転倒だと言えます。
先ほど、新築ワンルームマンションを区分所有して(新築区分マンション)、賃貸業を始めるように勧める事業者が増えているとお伝えしましたが、多くの場合、サブリース契約とセットになっており、住宅ローンの支払いが終わるまでインカムゲイン(資産から得られる利益)はほとんど赤字になります。
確かに、本業収入と損益通算することで不動産投資のマイナスが所得税と住民税に節税効果をもたらしますが、その一方で、新築ワンルームマンションは値下がりが激しいという特徴があるため、節税のために投資を始めたのに、節税分を大きく超える負債を抱えるケースが実態としてあるのです。
このように、所得税や住民税の節税効果を狙った不動産投資は失敗するリスクが非常に高いため、十分に注意する必要があるでしょう。
税金対策②:相続税について
不動産投資における税金対策で有効とされているのが、相続税に対する節税効果です。
相続税の基本的な考えと、税金の計算方法、不動産投資による節税効果について詳しく見ていきましょう。
相続税の基本的な考えと計算方法
相続税とは、相続などによって財産を取得した際に、その財産に対して発生する税金で、所得税と同じく国に納める国税となっています。
相続税の計算は、まず課税遺産総額を法定相続分で分け、それぞれに相続税率をかけて控除額を差し引きます。その後、算出された税額を合算し、再び各相続人に分配するという流れになります。
【相続税の計算方法】 ①:課税遺産総額を法定相続分で分ける (配偶者と子供1人の場合:配偶者2分の1、子供2分の1) ②:分けた遺産金額×相続税率-控除額 ③:②を合算 ④:③の合算を取得した財産の額に合わせて分配し直す(按分する) |
<相続税の速算表>
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
不動産投資による相続税への税金対策
不動産投資による相続税への税金対策は、相続税評価額がポイントとなります。
相続の対象となる財産には、現金・預貯金・有価証券・宝石・特許・著作権などがありますが、それぞれの相続税を評価する時に使う経済的な価値を相続税評価額といいます。
不動産投資で相続税が節税できるとされているのは、現金や預貯金を不動産という形に変えることによって、お金としてそのまま相続するよりも経済的な価値が下がり、結果として相続税を引き下げることができるためです。
不動産の価額を評価する時は、土地と建物を分けて考えます。土地の評価は、路線価方式と倍率方式で算出するのですが、路線価は時価の8割程度になるため、評価額が2割も下がることになります。例えば、時価1億円の土地だと、路線価で8,000万円になるというわけです。
さらに、相続税の申告期限までに貸付事業を引き継いで、なおかつ事業を継続していれば、相続する土地が一定の要件に当てはまっている場合、限度面積まで相続税評価額を50%または80%減額できる小規模宅地等の特例(相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)を受けることができます。投資物件は貸付事業用宅地等に該当し、200平方メートルまで評価額を50%減額することが可能です。
空室リスクや税制が改正する恐れなどデメリットもありますが、不動産投資における税金対策としては有効に働くと言えるでしょう。
税金対策③:贈与税について
不動産投資における税金対策で相続税とならんで有効なのが、贈与税に対する節税効果です。
贈与税の基本的な考えと、税金の計算方法、不動産投資による節税効果について詳しく見ていきましょう。
贈与税の基本的な考えと計算方法
贈与税とは、個人から財産を取得した時に発生する税金で、国に納める国税に該当します。相続税との違いは、財産を渡すタイミングが亡くなった後か生きている間かといった違いの他に、税率や控除額にも表れます。
まず贈与税には、1年間ごとに納税する暦年課税と、一定の要件を満たした贈与にのみ適用ができる相続時精算課税があります。
暦年課税とは、その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の合計金額から基礎控除110万円を差し引き、その残金に税率をかけ、さらに該当する控除額引いて算出する方法で、1年ごとに申告・納付する必要があります。
【贈与税の計算方法】 ①:贈与財産価額-基礎控除(110万円) ②:①×贈与税率-控除額=贈与税 |
加えて、贈与税の税率には一般贈与財産と特例贈与財産の2種類あり、特例贈与財産は、直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母)からの贈与かつ財産の取得者がその年の1月1日時点で18歳以上(令和4年3月31日以前は20歳以上)に限り該当します。
<贈与税の速算表(一般贈与財産)>
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
<贈与税の速算表(特例贈与財産)>
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
【出典】No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
贈与のうち、贈与者がその年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母で、なおかつ受贈者がその年の1月1日時点で18歳以上(令和4年3月31日以前は20歳以上)であれば、相続時精算課税を利用することができます。1月1日から12月31日までの1年間で取得した財産の合計額から、特別控除として限度額2,500万円(これまでに特別控除を利用していれば残額)を差し引いて、一律20%の税率をかけて算出します。
この場合、納税のタイミングは、相続時精算課税にかかる贈与者が亡くなった後、相続税額と一緒に精算して納税するという流れになります。
そして、この相続時精算課税を利用するには、はじめて贈与があった年の翌年2月1日〜3月15日までの間に相続時精算課税選択届出を提出しなければならず、また、同じ贈与者からの贈与に対して暦年贈与課税を受けられないため、よく検討する必要があります。
さらに、相続税逃れの駆け込み贈与を防止するために、贈与を受けた日から3年以内に贈与者が亡くなった場合は、贈与がなかったものとみなされて、贈与された財産は相続財産として判断される生前贈与加算が適用されます(2024年1月1日から死亡日前3年間→7年間に延長されます)。すでに納付済みの贈与税は相続税から控除されるほか、生前贈与加算が対象にならないケースもあります。
不動産投資による贈与税への税金対策
不動産投資による贈与税への税金対策は、相続税と同じで、課税評価額が現金や預貯金と比べて低くなるというのがポイントとなります。
また、相続時精算課税は贈与時点での評価で課税されますので、将来的に土地や建物の価値が上がる見込みであれば、節税効果が高くなる可能性も考えられるでしょう。
加えて、不動産投資で得た家賃収入を、例えば父親1人の資産として所有している場合、先ほどお伝えしたように所得税は累進税率ですから、所得が増えれば増えるほど税率が上がっていきます。もし、子の所得が父親と比べて低いのであれば、子に不動産を贈与することで、家族全体としての所得税率が下がり、結果として節税につながるというわけです。
さらに、家賃収入を将来的に子へ相続・贈与する予定であれば、早い段階で不動産を贈与することで子の所得となり、贈与税や相続税がかからず税金対策になるという利点もあります。
とは言え、不動産に住宅ローンなどの債務を付けた状態で贈与すると(負担付贈与)、債務の引き継ぎも含めた贈与になるため、贈与する側、このケースであれば父親にも所得税が課税されるケースがあります。また、通常の贈与では路線価で評価額が決まりますが、負担付贈与は時価で評価される点や、相続にはない不動産取得税が発生する点、登録免許税の税率が相続よりも高くなる点にも注意が必要です。
法人化による不動産投資の税金対策について
不動産投資では、法人化が税金対策につながると言われています。
個人事業主と法人のどちらが良いかについては、さまざまな条件によって異なってくるため、一概に回答できないのが正直なところです。例えば、ある一つの要素だけを見ると法人化する方がメリットが大きかったとしても、違う要素で見ると個人の方がメリットが大きいということは、しばしば発生するのです。
ここでは法人化が税金対策として有利になるとされている要素を5つピックアップし、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
法人化するメリット・デメリット①:売却益での税金対策
不動産投資では、物件の売却時に大きな利益が出る時がありますが、売却益への課税方法は、個人と法人で大きく異なります。
まず個人の場合、売却益は給料などの所得とは分けて考えます。物件を取得してから5年以内に売却すると短期譲渡所得、5年を超えて売却すると長期譲渡所得として所得税額が決まります。
対して法人の場合、不動産の売却益はその他の所得とひとまとめにして課税されます。
ここでポイントなのが、不動産を売却するまでの期間です。5年以内に売却するのであれば、法人の方が税率が低く、5年を超えて売却するのであれば、個人の方が税率が低い仕組みになっているのです。
そのため、物件をいつ売却するか?といった点も考慮すると良いでしょう。
※国などに対する譲渡は除く
※復興特別所得税、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付が必要
法人化するメリット・デメリット②:繰越欠損金での税金対策
不動産投資では、収入より必要経費が大きければ、その損失分を翌年以降に繰り越すことができます(繰越欠損金)。ただ、繰り越せる期間が個人と法人で大きく異なります。
税法では、個人が損失を繰り越せる年数は3年と想定されているのに対して、法人では9年に渡って繰り越すことが可能です。
つまり、繰越欠損金で見れば、法人化は節税効果がかなり高いと言えるでしょう。
法人化するメリット・デメリット③:減価償却での税金対策
建物の購入代金を、購入した年に全額経費として計上せず、数年に渡って分割して計上する仕組みを減価償却といいます。
個人の場合、年間に経費として計上できる減価償却費は限度が設けられているのですが、法人の場合は一定の範囲内であればいくら償却するのか自由に決めることができます。サラリーマンなど不動産投資以外の本業収入があれば、その利益を見て計上する額を変えて、キャッシュフローのバランスを整えることが可能になります。
ただし、不動産投資が黒字経営の場合、建物の減価償却分に関しては利益から差し引くことができますが、ローン返済のうち経費として計上できるのは利息分のみとなり、節税効果は限定的です。かといって、本業の課税所得を減らして税金対策をとるのは本末転倒だと言えるでしょう。
一方で、物件を自己資金で購入した場合は、減価償却分がキャッシュフローにそのまま影響されるので、黒字経営でも大きな節税効果となります。
法人化するメリット・デメリット④:保険料での税金対策
個人事業主として生計を立てているのであれば、収入の保証がないため、保険を多めにかけている人は少なくないでしょう。この保険料についても、個人と法人では扱い方が異なります。
個人の場合、保険料の控除に限度額が設けられているため、限度額以上支払っても、控除されません。一方、法人の場合は保険料を全額経費として控除できるケースがあります。
そのため、保険料を限度額以上支払っているのであれば、法人化はメリットになると言えます。
法人化するメリット・デメリット⑤:人件費での税金対策
税金対策のため、家族を従業員として雇用しようと考えている人もいるでしょう。
個人事業主では、専従者という形で家族に給与を支払うことができますが、1円でも支払った時点で扶養控除がなくなり、また、その家族が他で収入を得てはいけないといった決まりがあるため、節税効果はとても限定的です。
対して法人だと、家族を従業員として雇用する点について、個人事業主のような規則がありません。人件費に着目して言えば、法人化の方がメリットが多いという結果になります。
不動産投資の税金対策はプロにご相談を
今回は不動産投資の税金対策について、基本的な考えと節税効果をご紹介しました。
不動産投資における税金対策は、状況によって判断が異なるため、「こうすべきです」と確実な答えが言えないものです。また、税務を税理士に任せきりにしている人もいますが、全ての税理士が不動産投資に精通しているわけではありません。本来はさらに節税できるケースでも、適切な税金対策が取られていないケースは珍しくないのです。
そのため、不動産投資で最適な税金対策を取りたいのであれば、不動産投資に詳しい税理士に相談するのが得策だと言えるでしょう。
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- 不動産投資をこれから始めたいと考えている
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- 物件は所有しているものの、ほとんど利益が出ていない
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…など、不動産投資にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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