不動産投資の平均利回りは?利回りの基本や理想的な利率の見つけ方について

2023.07.21
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不動産投資において「利回り」は物件選びで最も重要な判断材料の一つで、不動産投資の物件広告でも必ず提供されている指標です。

しかし、インターネット上で提供されている利回りはたいてい理論値ですので、それだけで判断するのは非常に危険であり、また、誰もがチェックしているからこそ、差別化しにくい要素でもあります。特に不動産投資初心者の方は利回りばかりに注目しがちで、その本質的な部分が理解できていないケースがあるため、理解を深める必要があるでしょう。

そこで今回は、不動産投資における利回りの基本や、平均利回り、理想的な利回りの見つけ方、注意すべきポイントについて解説します。ぜひ最後までご覧ください。

不動産投資における「利回り」とは

不動産投資の利回りは、大きく「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。それぞれどういった指標なのか、見方や計算方法について見ていきましょう。

利回りの種類①:表面利回り(グロス利回り)

表面利回りとは、家賃年収を物件価格で割った数値で、物件への投資額に対して、1年間で得られる収益の割合を指します。グロス利回りとも呼ばれています。

不動産投資で登場する「利回り」とは、この表面利回りのことを指すのが一般的で、不動産投資において最も重要な指標の一つとなっています。満室時を想定した利回りで表示されることもあれば、現状収入で表示されることもありますので、表や注意書きをよく読んで正しく読み取ってください。

また、表面利回りには、物件購入時にかかる諸経費や、物件を維持するためにかかる諸経費は含まれていません。そのため、あくまで表面上の利回りだと認識しておく必要があります。

表面利回り(%)=収益(家賃年収)÷投資元本(物件価格)×100

表面利回りの中でも、物件が満室の場合を想定した家賃年収で割った利回りを「想定利回り」と呼ぶことがあります。物件情報に「想定」という文言が入っていれば、空室の物件か、まだ賃貸に出していない(貸主が居住中)物件という意味になります。想定利回りは、実際の利回りより高めに計算されている可能性があることを、理解しておきましょう。

想定利回り(%)=収益(満室想定家賃年収)÷投資元本(物件価格)×100

また、表面利回りの中でも、実際の入居者数から得られる家賃収入に基づいて算出された利回りを「現行利回り」と呼ぶことがあります。つまり、空室分の賃料は算入されていません。あくまで現行の家賃収入となりますので、変動する可能性があります。

現行利回り(%)=収益(現在の家賃年収)÷投資元本(物件価格)×100

利回りの種類②:実質利回り(ネット利回り/NOI利回り)

実質利回りとは、維持にかかる経費を引いた家賃年収を、物件価格に購入時の諸経費を足した額で割った数値で、ネット利回りやNOI利回り(Net Operating Income)とも呼ばれています。

表面利回りとの違いですが、表面利回りは家賃年収から物件取得額を引いた割合であるのに対して、実質利回りは税金や手数料といった経費を差し引いた収益率となっています。実質利回りは具体的なキャッシュフローが把握できるため、表面利回りと比べて、より実態に近い判断材料となります。

通常、不動産投資サイトなどで表示されている利回りは表面利回りですので、実際の収益率と差が開くことがほとんどです。利回りの高さだけで物件の購入を判断せず、必ず実質利回りや現行利回りもシミュレーションしておきましょう。

実質利回り(%)=(家賃年収−諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

ちなみに、諸経費とは下記のようなものが該当します。

【購入時の諸経費】

登録免許税/不動産取得税/収入印紙代/固定資産税の精算/不動産仲介手数料/司法書士手数料/ローン事務手数料/ローン保証料/各種保険料

【維持するための諸経費】

固定資産税/都市計画税/管理費/修繕費/修繕積立金/共有部の水道光熱費/共有部の掃除・メンテナンス費/各種保険料/リフォーム費/退去後のハウスクリーニング費・原状回復費/不動産会社への各種費用(広告、賃貸管理)/税理士などへの費用

【不動産投資の利回り】平均と理想について

【不動産投資の利回り】平均と理想について

次に、不動産投資の平均利回りと理想の利回りについて見ていきましょう。

不動産投資の平均利回りは?

はじめて不動産投資をする方の多くは、利回りの平均を知って、その平均より該当物件の利回りが高いか低いかで判断しがちですが、この方法で物件を選ぶと投資に失敗するリスクが高まります。

というのも、不動産投資サイトで表示されている表面利回りは想定利回り(満室想定)となっていることが一般的で、そのような表面上だけの利回りを見ても参考にならないからです。具体的には、東京23区や大阪市内のような都心部にある投資用マンションと、地方にあるマンションだと、地方物件の方が購入価格が安いため表面利回りは高くなりますが、空室リスクが高いため実質利回りが低くなる恐れがあります。

  大都市圏の物件 地方の物件
物件価格 高い 低い
空室リスク 低い 高い
表面利回り 低い傾向 高い傾向
メリット 表面利回りは低いが、空室リスクが低いので安定した収益につながる可能性がある。 安価で購入できるため、投資を始めた当初の利回りは良い。
デメリット 家賃の下落率が著しく低い物件は都心のど真ん中に限られ、さらに好立地の物件は価格が高い。 表面利回りは高いが、空室リスクが高いため実質利回りは低くなる可能性がある。

また、古い物件ほど物件の購入価格が下がるため表面利回りは高くなりますが、実際は修繕費やリフォーム費などの経費が高くなりますし、空室リスクも高くなりますので、実質利回りは想定よりも低くなります。

その点を踏まえた上での平均利回りをお伝えすると、新築区分マンションで平均4〜5%程度、中古区分マンションで平均5〜8%程度、新築一棟アパートで平均5〜6%程度、中古一棟アパートで平均7〜8%程度が目安相場となります。

ただし、木造なのか鉄骨鉄筋コンクリートなのか、都心部にあるのか地方にあるのか、加えて「中古」と言っても築2年のような築浅物件なのか築50年を超える物件なのかなど、物件の状況は多様です。平均というのはあくまで平均であり、物件購入の判断材料としては弱いと認識しておく必要があるでしょう。

不動産投資の理想の利回りは?

とは言っても、利回りは不動産投資において重要な判断材料であることに違いはありません。自分にとって理想的な利回りは、物件そのものの利回りだけでなく、不動産投資ローンの返済比率も考慮して算出していく必要があります。

例えば、サラリーマンが利用できるアパートローンの場合、30年以上の返済年数だと、利回りが6.5〜7%はないと収支がプラスにならず、不動産価格が将来値上がりしない限り失敗します。

このように、物件や個人によって融資の返済年数や金利が変わってくるので、一概に理想の利回りといったものはなく、シミュレーションで収支に見合った利回りを知ることがとても大切なのです。そして、とにかく多くの物件情報に触れることが、自分にとって理想の利回りを見つけるコツだと言えるでしょう。

【不動産投資の利回り】注意ポイント

【不動産投資の利回り】注意ポイント

最後に、不動産投資の利回りを判断材料とする上で注意すべきポイントをご紹介します。

注意ポイント①:表面利回りだけで評価しない

不動産投資の広告は表面利回りで掲載されていることがほとんどで、実際の利益はそれより低くなります。そのため不動産投資サイトなどを見る際は、利回りだけで判断しないように注意してください。

そもそも不動産投資は相場が不透明であることを知っておくべきです。不動産投資で収益を上げていくには、市場ではどの程度の価格で出回っているのか?その相場は今後変動する恐れがあるのか?といったことを確認しながら、シミュレーションで収益の見込みを計算し、施工会社や管理会社といった周囲の業者を味方につけながら運用していかなければなりません。

このような理由から、不動産投資は他の金融商材のようにパソコンの前だけで完結する投資手法ではないことをはじめに理解しておく必要があるでしょう。

注意ポイント②:高すぎる利回りは理由を調査する

不動産投資サイトで物件広告を見ていると、平均的な利率よりもやけに高い利回りの物件に遭遇することがあります。そのような高すぎる利回りの物件は、何らかのリスクが潜んでいる恐れがあるでしょう。

例えば、空室が多く実態とはかけ離れた計算になっていたり、売却が難しい物件だったり、旧耐震基準で建てられた物件だったり、修繕金が高すぎる物件だったりといったケースです。購入後に修繕金が高くつく物件は、あえて物件価格を下げて利回りを高く見せていることがありますので、高すぎる利回りを持つ物件を見つけてもすぐに食いつかず、その理由について調査が必要です。

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今回は、不動産投資の重要な指標の一つである「利回り」についての説明と、平均利回り、理想の利回り、利回りを見る際に注意すべきポイントについて解説しました。

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